2010/8/21から2011/2/26までの新聞記事をまとめたもの。
朝日新聞 2010年8月21日
岡崎・HP障害 サイバー攻撃のはずが 原因、実は図書館
ソフトに不具合 改修始まる愛知県内の男性(39)が、自作プログラムで図書館ホームページから新着図書の情報を集めたところ、サイバー攻撃を仕掛けたとして逮捕された。しかし、朝日新聞が依頼した専門家の解析によると、図書館ソフトに不具合があり、大量アクセスによる攻撃を受けたように見えていたことが分かった。同じソフトを使う全国6カ所の図書館でも同様の障害が起きていたことも判明。ソフト開発会社は全国約30の図書館で改修を始めた。
朝日新聞 2010年8月21日
図書館乏しいIT知識 岡崎の問題 背景にメーカー任せ
自作のプログラムを使っていたら、突然警察に逮捕された。図書館ホームページからの情報入手を巡る事件では、IT技術者から不安や懸念の声が上がっている。逮捕の背景には、図書館がコンピューターの管理をメーカー任せにしている問題があるほか、捜査当局のITの知識を疑問視する声も上がっている。
2010年8月21日 朝日新聞
図書館ソフト 06年には不具合解消 開発メーカー、情報伝えず
愛知県岡崎市立図書館のホームページにサイバー攻撃をしかけたとして男性が逮捕された後、朝日新聞の取材で図書館のソフトの側に攻撃を受けたように見える不具合があることが発覚した問題で、ソフトを開発した三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)は、2006年の段階で不具合を解消した新しいソフトを作っていたことがわかった。
2010年10月5日 中日新聞
岡崎市長が苦言 中央図書館HPダウンで業者に
岡崎市中央図書館のホームページ(HP)が男性利用者のインターネット接続に耐えきれずにシステムがダウンし、業務妨害容疑で男性が逮捕(後に起訴猶予)された問題で、柴田紘一市長は四日の定例会見で「市へ直接の情報提供と早期の対応があれば(逮捕は)防げたのでは。システム開発業者なら当然予見できた事態だ」と、業者に苦言を呈した。
2010年11月30日 朝日新聞
三菱電機ISが図書館システム問題で謝罪、「SIerとして不十分な点があった」
一方、アクセス障害の問題で、愛知県岡崎市立図書館に対してプログラムによるアクセスを行った男性が逮捕されたことについては、逮捕に至った責任についての直接的な言及は避け、「図書館ユーザーの一人としてご不便をおかけした点をお詫び申し上げる。対応が早ければ不快な思いをさせることはなかったと思う。ご本人が許せば、説明させていただければと思っている。誠意をもって対応させていただく」とコメントした。
三菱電機ISが図書館システム問題で謝罪、「SIerとして不十分な点があった」
2010年12月1日 朝日新聞
逮捕の男性に業者側が謝罪 岡崎図書館問題「不便かけた」
愛知県岡崎市立図書館のホームページで閲覧障害が起き、自作プログラムでアクセスした利用者の男性が逮捕された問題で、この図書館システムを作成・管理する三菱電機インフォメーションシステムズ(東京)が30日、会見した。門脇三雄社長はシステムの能力が不十分だったうえ、障害の原因究明を怠ったことを認め、「対応が早ければ不快な思いをさせることはなかった」と謝罪した。
2010年12月8日 中日新聞
図書館問題 市側が男性に陳謝 岡崎市長会見 人員、組織見直し
岡崎市の柴田紘一市長は七日の定例記者会見で、市立中央図書館のホームページ(HP)が接続不能になり、インターネットからアクセスした男性技術者(39)が逮捕された事件に触れ、市側が男性に陳謝したことを明かした。
2011年2月5日 地方自治職員研修
岡崎市立図書館事件とその教訓
これは誤認逮捕とも言える事案で、問題とされた利用者の行為は犯罪とは言えないものだった。なぜそう言えるのかは、誌面の都合上、説明しきれないので、詳細は他の文献(1)を参照して頂くこととして、ここでは、事件の概略を紹介した上で、図書館や行政の対応の問題点について私見を述べたい。
岡崎図書館事件文献リスト(地方自治職員研修2011年3月号参照用)
2011年2月25日 日経コンピュータ
岡崎市立中央図書館、検索システム障害に関して
「クローラー使用の男性に非なし」との声明岡崎市立中央図書館は2011年2月25日、同図書館のWeb蔵書検索システムが2010年春にダウンした事件に関して、クローラー(情報自動収集プログラム)を使って同システムを利用していた中川圭右氏に非は無かったとする声明を発表した。同図書館は声明文で、閲覧障害の原因が三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)にあることや、中川氏の名誉回復を願っていることなどを述べている。
この問題に関して岡崎市立中央図書館は今回、「事案発覚当時は、当館としては原因の詳細が分かりませんでした。しかし、現在では、ご本人様が行った図書館サイトへのクローリングが、技術的に一定の配慮が施されたもので、その意図も図書館システムの利便性を補おうとするものであったことと理解しています」とし、中川氏に非がなかったことを明言した。
また「当館は、その後の調査の結果、閲覧障害の真因は、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社が開発した図書館システムにあり、同社の不十分な対応が周知のような残念な状況へ導いたものと考えています」と述べ、MDISの開発したプログラムに問題があったことや、閲覧障害時の対応をMDISが誤ったことから、中川氏が逮捕される事態を招いたとの見方を示した。
岡崎市立中央図書館、検索システム障害に関 して「クローラー使用の男性に非なし」との声明
2011年2月25日 朝日新聞
HPでプログラム使⽤「犯罪性なし」 岡崎の図書館
愛知県岡崎市⽴中央図書館のホームページ(HP)からプログラムで情報を集めた男性がサイ バー攻撃をしたと誤解されて昨年5⽉に逮捕され、起訴猶予になった問題で、図書館は25⽇、「男性の⾏為は犯罪ではなかった」と初めて公式に認めた。図書館と男性がそれぞれのHPで声明を発表し、明らかにした。
2011年2月26日 中日新聞
起訴猶予男性の名誉回復願い声明 岡崎市中央図書館
大羽良図書館長は「図書館に犯罪かどうかを判断する権限はないが、男性に悪意がないことはよく分かる。名誉回復に協力したい」と話した。